医療法人 慈照会グループ

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糖尿病と食事

糖尿病と食事①

糖尿病にとって食事療法は一番大事であることはみなさんご存じだと思います。食事療法を行うことにより、糖尿病状態は改善し、糖尿病心血管系合併症を発症するリスクが低下することが示されており、すべての糖尿病患者にとって食事療法は糖尿病治療の第一歩です。個々の症例の長期にわたる食習慣を加味した個別の食事指導を実践することが必要です。したがって、血糖、血圧、脂質のコントロール状況、体重の推移、年齢、性別、合併症の有無やエネルギー消費(身体活動)などを十分に評価して摂取エネルギーを調整します。肥満者や高齢者においては摂取エネルギーを低く設定することが多いです。

 

糖尿病と食事②

最近の欧米でのガイドラインでは炭水化物の摂取を50~60%としています。日本においてははっきりした確証がないため、60%を超えない程度にすることが望ましい。最近は糖質制限ダイエットが言われており、糖質を抜くことが良い事だと思われがちですが、完全に無しにしてはいけません。また、糖質を減らした分、減ったカロリーを他のもので補うことが大事です。

インスリン治療中の患者では1日に摂取する炭水化物はなるべく一定にすることが勧められます。菓子、ジャム、清涼飲料水ではショ糖を多く含み血糖値および中性脂肪を上昇させるためなるべく少なくすることが望ましいです。糖尿病患者では果糖は肝臓でブドウ糖に転換し血糖値を上昇させるため、果物は1単位を厳守しましょう。

 

糖尿病と食事③

たんぱく質の摂取量に関しては標準体重1kgあたり1.0~1.2gを指示することが多いです。(60kgならば60から72gぐらい)たんぱく質が動物由来か植物由来かは問いません。進行した糖尿病性腎症を合併した場合では、たんぱく制限食が必要となります。脂肪に関してはそれぞれ摂取エネルギー量の10%以内におさめることが推奨されています。ただし、魚油に多く含まれているn-3系多価不飽和脂肪酸(EPAやDHAなど)や一価不飽和脂肪酸は血糖値や中性脂肪を下げる作用もあり、制限の必要はありませんが、摂取エネルギーには含めます。

 

糖尿病と食事④

糖尿病の合併症の発症や進展防止には血糖のみならず血圧のコントロールも重要です。食塩の過剰摂取は血圧上昇に作用し、食欲を亢進させるので、多くとも1日10gとしましょう。高血圧のある場合は1日6g未満、尿蛋白が陽性に腎性を合併した場合、1日7から8g未満に制限しましょう。また、食物繊維は血糖コントロールの改善に有効であり、血中脂質のレベルも低下させます。野菜は1日300g以上摂取することを目標にします。空腹感の強い場合、キャベツ、海藻、コンニャク、タケノコ、キノコ類など、低カロリーの食品が有効ですか、血糖を下げる薬を服用している場合、そればかりだと低血糖をきたすので注意が必要です。

 

糖尿病と食事⑤

アルコールの摂取に関しては、合併症のない例や肝疾患など有しない血糖コントロールのよい例では必ずしも禁止する必要はありません。しかしスルホニル尿素薬を内服する例では低血糖を引き起こす危険があります。また、アルコールを多飲する例では糖尿病の治療に悪影響を及ぼすので飲酒量を自分で制限できない例では禁止する事が望ましいです。アルコールの摂取について1日25グラム程度を上限の目安とし、毎日は飲酒しないようにしましょう。

 

糖尿病と食事⑥

高齢者の食事療法の場合、高齢者では味覚、嗅覚の低下、咀嚼能力の低下、唾液分泌の低下、胃酸の低下、肝腎機能の低下などが存在することが多く、筋肉が減少して栄養状態が不良になりやすい場合が多いです。したがって高齢者においては食事療法を行う際、栄養不良にならないように注意しなければなりません。食事制限による栄養不良や脱水を予防するために炭水化物を多めに摂取するのがよいでしょう。これに伴って血糖が高くなるならば薬物療法などを組み合わせましょう。