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腎臓内科医の診療日記 No.67

毎年この時期に、東京の恵比寿で土日の2日間にわたって開催される音楽のイベントがあって、何年か前からどちらか片方の日に参加していたのだけれど、今年も開催の告知があったので、参加することにした。このイベントは、監修がピーターバラカンという音楽業界の有名な人で、本人は音楽を作曲したり演奏したりする訳ではないけれども、世界中の音楽に対する感性が鋭く、知識も豊富で、流暢な日本語で語る音楽解説や番組自体がひとつの完成されたアート作品になっているという、とても格好良いイケオジである(注:世の中にはイケオジと、イケてないオジの2種類のオジがいる、と若い女性の研修医から教わった)。そんな訳で、日本のコアな音楽ファンには、ピーターバラカンのファンであるという人も少なくない。さっそく、イベントのチケット料金を調べてみると、以前と比べて値段が上がっていて、ここ3年はコロナの騒動でweb開催や小規模開催だったので単純に比較できないが、今年と同規模だった2019年までと比べると、1日あたり2000円ほど値上がりしていた。世の中インフレだから仕方ないよな、と思いながら、1年間頑張った自分へのご褒美として、今年は2日間の通し券を奮発して購入した。連日参加は初めてである。

そんな訳で、土曜の夜に東京で宿泊する場所を探してみると、今度はホテル料金が軒並み、以前の倍近くに値上がりしていた。こちらはインバウンド需要や円安、インフレなどが関係しているようだ。参加するライブイベントは、自分にとって価値がハッキリしているので、チケット料金の値上がりにも動じなかったけれど、宿泊するホテルは酔っぱらって寝るだけなので、話が別である。こんな高い料金、イイ年こいたオヤジが1人で寝るためだけに払えるかよ。ちなみに若い綺麗なお姉さんが一緒に泊まってくれるのなら喜んで払うが、残念ながらそんな話はない。ホテル選びに悩んだ私は、昨年までと同じくらいの料金で宿泊できるカプセルホテルをみつけ、そこを予約した。以前は同じ値段で個室に泊まれたのに、今年はカプセルかよ。そういえば、日本のGDPは人口の少ないドイツに抜かれて世界4位に転落し、1人あたりのGDPは韓国に抜かれようとしている。賃金の伸び率や収入は低水準に留まり、とられる税金や社会保険料は増え、世界の先進国に比べて、日本人はどんどん貧乏になっている。ひょっとすると、これから日本の普通のホテルは、海外の金持ちインバウンドしか泊まらなくなって、日本人は安宿に泊まるようになるのかもしれない。なんだか悲しい話である。ところで日本の病院では、どうみても終末期の高齢者に、医療費が湯水のごとく使われている。日本経済はボロボロで、若者も貧困にあえいでいるというのに、そんな余裕があるのだろうか。日本の医療制度の大幅な見直しが必要なのは言うまでもないが、とりあえず末端の医者は、自分たちが正義と信じてやっている事を、もう一度疑ってみたほうが良い。

ところで最近、港区女子という言葉がSNSで流行っている。港区女子とは、ネット記事を参考にすると、20代の女性を中心に、港区界隈の合コンやパーティーなどに参加し、様々な目的で参加するハイスペック男性たちを結婚相手として狙う、ちょっとキレイ目だけれど狡猾な女性たちのことである。私が参加した音楽イベントは両日とも午後からだったので、2日目の午前中は空いていた。天気が良かったので、レンタル自転車を借りて恵比寿から目黒あたりをブラブラ徘徊していると、ふと、道路脇の標識に、「港区白金台」と書かれているのに気が付いた。ここが有名な「港区」か。「白金台」も聞いたことあるぞ。私は少し前に流行ったシロガネーゼという言葉を思い出し、ネット検索してみると、「家事や仕事はするつもりが無く、美味しいものを食べて、きれいな服や装飾品を身に着けて、エステに行ってだらだら過ごしたい女性が、若いうちにとにかくお金をたくさん持っているオヤジと結婚して、白金台の高級住宅街に住み、ランチには~云々~しながら生きている女性たち(一部表現の変更、略あり)」という悪意タップリの検索結果がみつかった。そうか、簡単に言えば、港区女子が狙った男性と結婚して白金台に住むと、シロガネーゼになるのか。そんな事を考えながら、高級外車がズラリと並ぶ白金台の住宅街を、30分160円のレンタルサイクルでゆっくり散策した。旅先での散歩やサイクリングは、新たな発見に満ち溢れていて、とても楽しい。そして今年のライブも、もちろん最高だった。