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腎臓内科医の診療日記 No.64

今年の北海道は趣向を変えて、最初に空路で釧路空港に向かうことにしたら、セントレアから出発する都合のよい飛行機が無かったので、関西国際空港からの便を予約した。フライトの時間は昼すぎなので、早朝に名古屋を出発しても何とか間に合うけれども、バイク用のジャケットやブーツなどの入った特大サイズの重たいスーツケースを持っていくので、余裕を持って前日の夕方に、大阪行きの近鉄特急に乗ることにした。釧路には都合の良いレンタルバイク店が無かったので、バイクを借りられる屈斜路湖近くのライダーハウスまで、空港からさらに4時間くらいバスと鉄道に乗ることになる。6年くらい前から週に4、5回はプールで泳ぐようにして最近筋トレも始めていて、妻曰く頭がおかしいこと以外は持病らしい持病もなく、同年齢の人たちに比べると、それなりに健康な方だと思っているけれど、あまり初日からハードな行程を組まない方がよい。来月誕生日を迎えると50ちゃいになるので、もう半世紀オジサンである。ところで、私と同じように週に何度もプール通いをしていた父は、67歳で白血病になって、あっけなく逝ってしまった。若い頃からヘンな薬を医者に飲まされ続けていたせいだと思うが、「病気」になった時には、ヘンな薬を飲まなくて済むようなカラダをどうすれば取り戻せるのかを考えて、きちんと自分自身のメンテナンスをした方がよい。その方が人生を楽しめるし、老化も遅れて、何故か運もよくなるのでお得である。学校や医学部では教えてくれない重要な法則が、間違いなくある。

近鉄特急で大阪に行くのは新幹線よりも時間がかかるけれど、逆に座席で窓の外の夕暮れの景色を眺めながら、ゆっくりこの原稿を書くことができるだろう。そんな事を考えて鉄道に乗り込み、座席に備え付けのテーブルの上でタブレットを開いて、今月は何を書こうと考え始めたら、通路を挟んで隣に座った家族旅行中の小さな兄妹が、ウンコチンチントッキューワーイと大きな声で騒ぎはじめたので、まったく捗らなかった。ところで、子供連れの幸せ家族が眩しすぎるのは、なぜだろうか。私の家族にも、遥か昔にあんな頃があったような気がする。あの頃の皆は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。それともあれは、夏の蜃気楼だったのですか?そういえば、夏のミラージュ(蜃気楼)という、童貞殺しアニメの金字塔「きまぐれオレンジロード」の胸キュンソングがありましたね。そんな事を考えていたら、ウンコ兄妹が途中の駅で降りて行ったので、少し原稿に集中できるようになって、ここまで書き終えた。

今年の北海道の目的地、道東と言えばOSO18である。先日、森の中に仕掛けられた監視カメラにOSO18の姿がカラーで捉えられ、公開された。「捕まらない怪物ヒグマOSO18、4年で牛66頭が被害」「OSO18の姿、鮮明な画像を初撮影」「次々と牛を襲い包囲網をすり抜ける忍者グマ」といった魅惑的なタイトルが付けられたネット記事が、頻繁に報じられている。私は、昨年購入した秘密兵器のクマ対策スプレーをキャンプ道具箱の中から見つけ出し、クマ除けの鈴と一緒にスーツケースの中に入れた。使用期限はまだ大丈夫だ。1つ気になっている、というか、かなり気掛かりなのが、このスプレーを購入する時は気付かなかったが、届いた説明書をよく読んでみると、これはどうやら対ツキノワグマ用のスプレーだということである。日本に生息するクマは、北海道に生息するヒグマと、本州以南に生息するツキノワグマの2種類がいて、ヒグマの方が大きくて凶暴で、ツキノワグマはどちらかと言えば臆病である。ネット通販で検索してみると、ヒグマ用のスプレーも探せば販売されていたが、やたら価格が高かったり、安く売られているものは使用期限が残り半年とか短かった。命かカネか、どっちを取るか悩ましいな、などと迷っている間に、航空会社の荷物預け入れの注意書きの中に、クマ対策スプレーは、機内への手荷物持ち込みも貨物室への預け入れもできません、と記載があるのに気がついた。昨年は、バイクに荷物を載せてフェリーで北海道に入ったので気づかなかった。ネットでヒグマ用スプレーを購入して、最初の宿泊先に配送しておくのも間に合うかどうか微妙だし、帰りも陸送で別に送らなければいけない。私はスーツケースからツキノワグマ用スプレーを取り出して道具入れに戻し、意を決して腕立て伏せを始めた。