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腎臓内科医の診療日記 No.53

ベッドに寝転がってスマートフォンで「ツイッター」とか「インスタグラム」のSNSアプリを開いて、誰かの発言や投稿動画をダラダラと見ていると、あっというまに時間が過ぎていく。「ツイッター」は中年以降の粘着質男性が多く投稿していて、「インスタグラム」は容姿に恵まれた性格の悪いマウンティング女子が多く投稿している、と私は分析している。私自身も中年ド真ん中のオタク崩れ男性として結構な粘着性を持っていると思うけれど、自分と同じかそれ以上に粘着質なジジイに絡まれると面倒なので、自分から投稿したり、誰かの発言にコメントすることは無い。ネバネバする人とは、なるべく関わりたくない。

そのツイッターの投稿で、つい気になってしまうのはコロナ関連の話題だが、投稿者(多くは中年男性)の発言をみて、「うまい事言うな」と賛同する事もあるし、「寝言は寝て言え」と思うこともあるし、意見が対立する投稿者同士が罵りあっているのを、プロレス観戦の感覚で眺めている時もある。最近の試合で劣勢に立たされているのは、「医クラ」と呼ばれる人たちである。「医クラ」は「医療クラスタ」の略で、本来はネット上の医療従事者を広く指す言葉のようだが、この話題の中での「医クラ」は、移動やイベント、飲食の自粛、マスク、ワクチンなどの日本のコロナ対策に効果があったと考えている医療従事者を、そうは思わない懐疑派の投稿者が揶揄的に使っている事が多く、ひとつの差別用語のようだ。医療従事者の中にも、緊急事態宣言やマン防、マスク、ワクチンなどに対して初期の頃から懐疑的な人たちもいて、そういう人たちは「医クラ」とは呼ばれず、懐疑派から正しい判断力を持つ正義の医者として尊重されている。

「コロナ懐疑派」vs「医クラ」の勝負は日々繰り広げられている。私が応援するアントニオ猪木や藤波辰爾は言うまでもなく前者で、フォークで猪木の頭を突き刺すブッチャーの軍団は「医クラ」である。ブッチャーを知らない人は、往年の悪役レスラー「アブドーラ・ザ・ブッチャー」を調べてみてください。ちなみに悪役レスラーは、リングを降りれば良い人の場合も多いので、「医クラ」を悪役レスラーに例えるのは違う気もする。…というのは少し言い過ぎかもしれない。また、一見味方のようにみえるコロナ懐疑派の中には、理解不能な陰謀論に嵌っているだけの人もいるようで、関わって自分も洗脳されると面倒なので、注意が必要である。ところで、レスラー達はリング上で血まみれになって戦っているが、スマホの画面越しに試合を眺めている私は、怪我をしない安全な場所にいる。私はある意味、卑怯者の藤木である。私はフォークで刺されたくないし、有刺鉄線電流爆破デスマッチには参加したくない。藤木は、ちびまる子ちゃんの唇が紫色の藤木です。

ここまで書いてきてナンだけれど、スマホをいじって時間を潰したあとの虚しさは格別である。SNSの情報(テレビ番組もそうだが)は玉石混交で鵜呑みにするのは危険だし、素直に信頼できるニュース解説番組をラジオで聞いたり、運動、読書、映画鑑賞、旅行や資格取得、何か自分のためになるレッスンを受けたりして時間を使った方が、よほど有意義である。有意義な時間の使い方を考えて生きていた方がよい。夏休みに「暇でタイクツ死しそう」な娘よ、そこんとこ頼む。