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腎臓内科医の診療日記⑬

新しい元号のニュースで4月1日から大騒ぎになった。当日の朝のニュースで、11時30分発表という事は聞いていたが、仕事が始まったらすっかり忘れてしまい、入院中の患者さんを医学部の学生さんと一緒に回診している間に、その時刻を過ぎてしまった。回診が終わって11時45分過ぎに休憩室に戻ってきたら、同じ職場の人々がテレビに釘付けになって、「ついさっき発表されましたよ、レイワですって」と興奮していた。歴史的瞬間を見逃してしまった事を後悔した。自分が中学の時に、昭和から平成に代わったが、その時、小渕さんの生中継をみたかどうかは覚えていない。夕方、後輩の平成生まれの女医さんが、「私もみんなと一緒に、外来に置いてあるテレビで見てましたよ」と嬉しそうに話していた。「先生は、こういう場面を見る機会は、もうないかも知れませんね~ww」と私に言った。(※笑をwと表記する若者文化)

ある腎不全の患者さんで、合併症によって意思の疎通があまりうまくいかない方がいた。点滴などの処置に抵抗される事も、時々あった。この方の腎臓が末期状態になった時に、透析を始めるかどうか、という事を何人かの医師で集まって話しあった。今の時点で、やらない理由を並べて方針を決めてしまうよりも、うまく継続できるかどうかわからないけれど、ある程度通常の方と同じように透析の準備をすすめて、どうしてもダメそうならまた相談しよう、ということになった。

東京の病院で、40代の透析患者さんが透析をやめたいと医師に伝えて、実際に透析を中止して1週間後に亡くなったというニュースがあった。当時の具体的な状況がすべて公開されている訳ではないので、一概には言えないところもあるが、やはり違和感があった。もし本人が透析をやめて死にたいと言ってきても、そのように思っている本人の気持ちに寄り添いながら、もう一度前向きに生きられる方法を、諦めずに一緒に探していくのが、よい医療者なんじゃないか、と思った。無理せず諦めた方がよいのか、諦めずに頑張った方がよいのか、悩む場面は結構よくある。今回のことも、どこまで考え抜いたのかが知りたい。

先日、先ほどの腎不全の患者さんが、新しい元号はレイワだよ、と言っていた。やはりもうちょっと頑張ってみようと思った。