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腎臓内科医の診療日記⑥

今年は異常気象が続いていると、テレビやラジオでもう何十回か聞いた。38℃を超える日々が続いた猛暑がようやく終わりかけたと思ったら、今世紀最強の台風がやってきて、病院の屋上から排気ダクトを吹き飛ばして、廊下の窓ガラスを割って去っていった。私の周りではこの程度で済んだが、ニュースで放送された映像では、タンカーが空港の連絡橋に刺さって、車がオモチャのように吹き飛ばされていた。強風にあおられて転倒し、亡くなられた方もいる。私も外出は危険だと思ったので、当日の夜に予定していた会合を、一か月延期してもらった。

 

簡単に延期できる予定ならよいが、週に3回の透析は、そうはいかない。それでも大災害の時には、通常の透析をスケジュール通りに受けられなくなる事もある。東日本大震災では、3日間透析を受けられなかった人もいた。透析を受けられても最初は2時間だけ、その後も3時間透析が2か月間続いた地域もあった。そうなったら、透析患者さんは、まずは食事に注意しなくてはいけない。簡単にいえば、塩分とカリウムを出来るかぎり控えることである。塩分を控えていれば、水分もあまりほしくならない。逆に塩分をとってしまうと、のどが渇いて水を飲んでしまう。そうすると心臓に負担がかかり心不全になり、胸が苦しくなって、ひどいと死んでしまう。カリウムも、とりすぎて高カリウム血症になると不整脈を起こしてしまい、これもひどければ死んでしまう。かといって、何も食べないと、それはそれで栄養失調で死んでしまう。塩分やカリウム、水分摂取に注意しながら、ごはんを中心に食べるものは食べて、次の透析を待つことが必要なのである。ふりかけや梅干し、カップ麺のスープはよくない。大災害はめったにないはずだが、今年の異常気象をみていると、そうも言っていられない。真夜中に目が覚めてこの原稿を書いていたのだけれど、気分転換にネットニュースをみたら、北海道でまた大きな地震があった。やはり気を付けておいた方がよい。