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腎臓内科医の診療日記⑦

日本の社会は、どんどん高齢化がすすんでいる。高齢化社会という言葉を子供の頃に教わったので、そのまま今も高齢化社会だと思い込んでいたら違った。65歳以上の人口が全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」といって、これは1970年に突入したそうである。その後は1995年に14%を超えて「高齢社会」と名称を変え、2010年には21%を超えて今は「超高齢化社会」だそうだ。こういう細々とした分類を作られてしまうと、いちいち覚えていられないが、知らないと知っている人からバカにされてしまう場合もあるので、仕方なくこういう機会に覚えておくことにする。出来ればこんな細かい分類はしないでほしい。

 

透析を始める患者さんも、やはり高齢者が多い。先日、透析を専門としない同僚の医師から、「担当している施設の92歳の人の腎臓が悪くなってきたけれど、高齢だから透析はやらないですね?」と聞かれた。本人は比較的お元気で、自分の身の回りの事は自分でできるようである。高齢の腎不全の方のご家族からも、同じ事を言われることがよくある。中にはご自分から透析はやらなくていいですよ、と言われる高齢者もいる。

 

しかし、年齢が高齢であるからという理由だけで透析をやらない、という事はないのである。高齢でも意思疎通ができて、日常生活動作もそれなりに保たれている場合なら、積極的に透析導入を考えていくことが多い。逆に年齢的にはそこまでいっていなくても、別の病気のために意思疎通が困難で、寝たきりになってしまっている場合などは、尿毒症がすすんだ場合でも、透析はやらずにそのまま終末期を迎える事もよくある。このあたりは主治医の意見やご家族の意見、ご本人の意思が確認できる場合はそれも合わせて、皆で考えて決めていくことになるのである。昔95歳の元気なご老人が、最初は嫌がっておられたのを、なんとか説得して透析を始めて、その後もしばらく元気に生きていた人がいた。ご本人も透析が始まって体が楽になって喜んでおられた。この方のような場合は、透析をやっておいてよかったな、と思う。