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腎臓内科医の診療日記④

今年も6月29日から7月1日にかけて、神戸のポートアイランドにある神戸国際会議場で透析学会が開催されました。日本全国から医師、看護師、臨床工学技士など多様な職種のスタッフが集まり、先端医療のシンポジウムから、各施設で取り組んでいる研究発表、若手のスタッフ向けの教育講演まで、様々なセッションに参加しました。透析スタッフは、学会で学んだ最新の知識を持ち帰り、日常診療に役立てています。

私は、「HIV感染患者の透析医療をはじめるために」というランチョンセミナーに参加しました。ランチョンセミナーというのは、お弁当を食べながら講師の話を聞くスタイルのセミナーです。お弁当は学会参加者には無料で配られますが、あらかじめ高額な学会参加費を支払っているので、別に得をするという訳ではありません。ただ、その参加費の元をとろうと、多くの参加者が押し寄せるため、大変混雑します。透析学会は参加者も多いため、朝から整理券が配られるのですが、それもすぐに無くなります。

肝心の講演について、少しお話します。HIVというのは、後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因ウイルスです。このウイルスに感染するとエイズになって死んでしまう、と恐れられた時代もありましたが、それは昔の話です。現在では効果的な薬が開発され、感染してもウイルスの力を強力に抑え込めるようになっており、エイズで死んでしまう人の数は激減しています。今はHIVに感染しても、薬を飲みながら元気に生きていける時代になっており、感染者の平均余命は感染していない人とさほど変わりないと言われています。

ただ、昔の怖いイメージが世間に定着してしまったため、残念ながらHIV患者さんへの偏見や差別が残っているのが現状です。そのせいでHIVに感染している透析患者さんが、透析施設から受け入れを断られてしまった例が数年前にあり、学会の場においても最新の知識を参加者の方に提供して、偏見や差別、風評被害を無くしていこうという試みがなされています。HIV感染者から他の患者や医療従事者へ感染が成立する可能性は極めて低く、正確な知識を得て対処法を学んでおけば、どこの施設でも受け入れが可能であるという事があらためて理解できて、とても有意義なセミナーでした。

学会は、日常から抜け出して心身をリフレッシュする良い機会でもあります。これも普段の仕事のクオリティーを保つために、とても重要な事だと思います。私たちも出発前に神戸で素敵なイベントがないか調べたところ、神戸港でナイトクルーズ船が運航されているのを見つけてしまいました。費用も街中で食事をするのと変わりません。

学会初日の夕方、三宮のホテルに荷物を置いて、神戸駅近くのハーバーランドに到着。雨上がりの夕暮れに、港の建物の灯りが幻想的に輝く中、白いクルーズ船が静かに停泊しており、気分は盛り上がります。少しの待ち時間の後、タラップを上って乗船し、レストランの予約席に通され、19時30分に予定どおり港を出港。ビールで乾杯し、美味しい料理を楽しみます。窓越しに、瀬戸内海の暗闇に浮かぶ神戸の街の灯りが、船の航行とともにゆっくり流れていきます。しばらくたって、ピアノの生演奏が始まりました。最高の雰囲気の中で、イイ感じにデキあがったヨッパライ男女3人。料理を食べ終えて、海風の心地よいオープンデッキに出たところ、他のお客さんたちの中に、人目を憚らないカップルを発見してしまいました。チョット、アレミテヨ、スゴイネーと指をさしたりして、本当にすいませんでした。下船後もフラフラと千鳥足で三宮まで歩いて帰り、二軒目でさらに酔っ払い、神戸の夜が更けていきました。